夏を快適に過ごすために作れた『温度を調節機能素材(以降、機能性素材)』は世の中に数多あれど、何がどう違うのか良くわからないと思ったことがあるのは私だけ?!
当記事では某有名ブランドの商品展示会に参加した際に学んだ最新の機能付き素材について解説。比較&検証しています。
1. クール系「機能性素材」基本編
吸水速乾:COOLMAX
夏向け『機能性素材』の中でもっともメジャーといえば『COOLMAX』ではないでしょうか?
汗の吸いが良い、乾きが早いことから、ムレなく快適に着ることが出来る素材として多くの衣類に取り入れられる定番で人気があります。
接触冷感:アイスコットン
触った時に「ヒンヤリ」するタイプの機能性素材で「アイスコットン」と呼ばれています。
寝た時の「ヒンヤリ」感が気持ち良い、寝苦しい夜に気持ち良いため、寝具などに使われることが多いとのこと。
シャリ感があることからドレス、ビジネスシーンでも人気があります。
温度調節:アウトラスト(R)OUTLAST
”Not too hot,not too cold”の言葉の通り、一定の温度に保とうとする力を持たせた素材を『OUTLAST:アウトラスト』と呼びます。
最先端の機能性素材として近年、注目を浴びるようになりました。
以下は『OUTLAST:アウトラスト』説明を抜粋。
アウトラスト(R)は、アメリカNASAの宇宙空間で使用するグローブのために開発された、温度調節ができる素材のこと。有機化合物・パラフィンワックス(石蝋)が入ったマイクロカプセルによって、人が「快適」と感じる肌の表面温度を、極寒の場所でも、炎天下の場所でも、熱の吸収・放出によって常にキープしようと働きかけます。
通気:FREEVENT
穴を開けることで「VENT:ベント」すなわち「空気」の流れを作った衣類のことを『FREEVENT』機能付きと呼びます。
有名な素材として波のようにシワが寄っているでゆうめない「シアサッカー」、「パナマ織り」などの場合、素材自体がそもそも風の通りが良いことで有名。空気が入り込みやすくなっています。
自然素材:NATURAL
前出「通気性」にも通じるのですが、自然素材で作られた生地で作った生地を差します。天然素材がそもそも持つ吸湿性、通気性を楽しむことが出来ます。
自然素材として有名なものに「バナナ」「パイナップル」「ケナフ」「竹」など。何れ素材も共通していることは以下のとおり。
- 生育が早い。
- CO2削減に貢献している。
- 成長したら今まで捨てられていた。
今まで捨てられていたバナナやパイナップルの葉を使って繊維を作ることで、自然素材ならではの風合いが出るとともに、エコにも繋がることで人気が上がっています。
2. 最先端クール系「機能性素材」徹底検証
OUTLAST:アウトラスト
【OUTLASTに練りこまれているパラフィンワックス】
商品展示会にて、機能性素材『OUTLAST:アウトラスト』に練りこまれた「有機化合物・パラフィンワックス(石蝋)」の実物を見てくることができました。
瓶に入った「パラフィンワックス(石蝋)」を暫らく握っていると手の平の熱で徐々に溶けて行く様子が分かります。
更に暫らくして瓶の温度が下がると「パラフィンワックス(石蝋)」は再び固り始めます。
外部温度変化によって繊維に練りこまれた「パラフィンワックス(石蝋)」は”溶ける固まる”を繰り返します。
このことで衣類内の温度は常に約32.3℃程度にキープされ、常に快適な着心地に繋がります。
【テスターによるOUTLAST温度変化を検証】
テスターを使って『OUTLAST:アウトラスト』あり・なしによる温度変化を観察します。
- 写真左:OUTLASTあり
- 写真右:OUTLASTなし
写真左:OUTLASTありは手を離して暫らくしても温度を一定に保っていることがわかります。
一方で写真右:OUTLASTなしの場合、時間経過と共に温度を保つことが出来ずに外気温に戻っていく様子がわかります。
FREEDRY:フリードライ
【水をかけた時のFREEDRY素材の変化を検証】
- 『FREEDRY』素材の生地(写真右、エンジ)
- 『FREEDRY』素材ではない生地(写真左、黄色)
それぞれに霧吹きで水を掛けてみた様子を検証しています。
『FREEDRY:フリードライ』素材の生地(写真右、エンジ)は水分を分散・吸収していることが分かります。
一方で『FREEDRY:フリードライ』素材ではない生地(写真左、黄色)は水分が表面に残った状態が長く続きます。
「霧吹きの水=汗」と考えた場合『FREEDRY:フリードライ』素材の服であった方がサラっと着心地が良いことが分かります。
- 『FREEDRY:フリードライ』素材の生地(写真右、エンジ)
- 『FREEDRY:フリードライ』ではない生地(写真左、黄色)
それぞれの生地に水を掛けた後、生地を裏返して反対側の様子をチェックしています。
写真右:エンジの生地は水をかけた直後より反対側にも水分を確認することが出来ます。
『FREEDRY:フリードライ』素材の場合、繊維に沿って横方向に線が入り広く薄く水分を吸収している様がわかります。
一方で写真左、黄色『FREEDRY:フリードライ』ではないの生地の場合、水をかけた直後、反対側には水分を通していません。
FREEVENT:フリーベント
- 写真右:水分を含んでいない状態
- 写真左:水分を含んだ状態
FREEVENT最先端では、 写真はランニングウエア自体に予め通気性の穴VENTを開けた機能性ウエアも登場しています。
写真は汗に想定して、霧吹きで水を掛けた様子をチェックしています。
写真右:水分を吹きかけることでVENT:穴が更に広がり通気性を上げてくれることが分かります。
3. 「機能性素材」の進化形「ハイブリット」とは?
前出、涼しい機能を持った素材を組み合わせたタイプを差します。
「どのような涼感素材をどのように組み合わせるか」については各ブランド色が大きく出る部分でもあり、ハイブリッド素材を製作する設計段階より携わるブランドであるかどうかによって、製品展開の幅や価格に違いが出てきます。
ビジネスシーンに一押し!アイスコットン+クールマックス
商品展示会にて撮影 クールマックス(R) 製仕様のシャツです。
アイスコットンならではシャリ感はオフィースシーンにもぴったり。COOLMAX機能による吸湿速乾性があるため汗をかいても安心です。
シアサッカー+クールマックス
商品展示会にて撮影。シアサッカー+クールマックスの生地です。
ボツボツとしたハリ感が楽しめる素材として有名な「シアサッカー」ですが、吸湿速乾COOLMAX機能を添えることでより快適な涼感ウエアに仕上がっていました。
アイスコットン+レイヨン
商品展示会にて撮影「アイスコットンリネンのダウンシャツ」です。
個人的に一番気に入ったハイブリッド素材です。
アイスコットンならでは肌に触れた時のひんやり気持ちいい感触、レイヨンならでは滑らかな感じが相まって夏に相応しい清涼感が良いなと思いました。
4. アウトドアシーンに頼りになる「UV」機能とは?
衣類に対する「UV加工」は紫外線で問題視されるA派B派を遮断するために用いられます。
「UV加工」には繊維に織り込まれているタイプ、後付でUV加工を施したタイプがあります。
生地製造に段階でUV機能を織り込んだタイプ
織り込まれていることから長持ちします。生地に練り込まれた素材によって太陽光を「乱反射」UVプロテクトを実現しています。
生地の上からUV加工を施しているタイプ
後付のUV加工のため洗濯する度にUV機能が落ちていきます。
2015年4月15日テレビ東京放送「ソレダメ!~あなたの常識は非常識!?」出演、皮膚科医によると、後付でUV加工された繊維は太陽光や摩擦によって2~3年しか機能を保つことが出来ない為、買い換える必要があるとのこと。
アウトドア大好き。
「UV加工さえしていれば大丈夫」と思っていた私にはちょっとした衝撃でした。
ちなみに2~3年以上長く使いたい場合は後付でUVスプレーすることである程度、UV機能を延命させることもできるそうです。
紫外線に晒されることが多い旅向けウエアに多く採用されている「FREESHADE」です。
繊維に予め織り込まれたタイプなので後付UV加工と違って長持ちすることが魅力です。
UPF50+で紫外線防止効果を発揮します。
ちなみにUPFとはオーストラリア、ニュージーランドで主に用いられる指標で紫外線を95%カットします。
まとめ
これまで夏向け機能性素材といっても「機能が付いている、付いていない」と短絡的に考えていたのですが「COOLMAX」「VENTFREE」など単一機能だけを見ても5つ。
更に複合系であるハイブリッド素材を含めると世の中には実に多く種類があることを知りました。
アウトドア、スポーツ、或いはオフィースシーン、ニーズに合わせて各種機能性素材を使い分けていきたいと思いました。
次記事では商品展示会よりビジネスシーンにオススメの最新涼感アイテムを紹介したいと思います。